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​蚕祖祭(春祭り)のご報告

 4月5日(日)には蚕祖祭が執り行われました。日本全国の神社には、例祭祀といってその地域独特の内容のものもあります。特産物であったり、そこに根付く産業や文化であったりする場合と様々です。小泉地域に限らず長野県では昔は養蚕が盛んで、農閑期の大事な収入源になっていました。当時は多くの民家に蚕室があって、人と蚕が同じ屋根の下で生活することが何の違和感もない時代だったようです。

 そこまで身近であり、家計の助けとして大事な存在であった蚕の祖をまつり、その恩恵に感謝する風習は今でも多くの地域に残っています。

​ 今年の蚕祖祭は、神社での神事としてはちょうどいい気温の中、滞りなく執り行われました。春祭りはどの地域でも今年1年の豊作を祈り、産業や経済の発展を祈願します。春祭りの祈願が秋祭りの感謝へと引き継がれ、1年ごとの神事の流れを我々は長い間継承してきたわけです。
​ 今年の総代長は横山の宮崎さんに担っていただいております。通常総代の任期は3年で、その年3年目の者が総代長になることが多いのですが、区の決まりで横山は1年になっており、横山から総代長が出るのは異例のことです。他の総代からの推薦を受けていただき、今年の総代長を務めていただくことになりました。
 祭祀では神饌の並べ方もそうですが、参列する皆様にも厳しい序列があります。祭祀での序列は、総代会、自治会三役、水利組合長、区長会、祭典係の順で、この順番で玉串拝礼を行います。神道では心身共に清浄であることが求められ、参列者は正装で臨むことはもちろんのこと清らかな心で神さまと向き合わねばなりません。
​ 今回は蚕祖祭にちなみ、普段はお弁当に付けていた和菓子を繭玉に変更しました。昨年以前の初詣で配られていた繭玉は実はかつては蚕祖祭で配られていたようで、この点についても正しく修正することができました。総代会が作成した繭玉をおしゃれにパッケージングし、神饌としてもお供えしたものをご参列の皆様にお配りいたしました。祭祀とは神さまへの心をこめたおもてなしで、こうして一つ一つ手間をかけて行うことが本来の祭祀であり、今年は中身の濃い蚕祖祭になったと考えております。
​ 祭祀の後は「直会」という催しがあります。神饌として神さまにお供えした素材を調理し、神さまと同じものをいただく神人共食という行事です。これによって神さまとの一体感を感じ、そのご加護を有難く頂戴する時間であるとともに、祭祀に参列した者たちは通情の生活に戻る、すなわち「直る」会として祭祀の大事な一部であり、祭祀では必ず行われるべき行事です。
​なおらい

 この直会がコロナ禍等のために昨年まで「まとめの会」として簡略化され、お神酒での乾杯のみで神饌を調理していただく直会は中止されておりました。それを今年は蚕祖祭から復活させて、参列いただいた皆様にも本来あるべき祭祀の姿をご体験いただくことができました。

​ 神饌としてお供えした鯛、大根・人参・葉の花・ねぎなどの野菜、そこに春の素材である筍などを加えてみそ仕立ての汁物を作り、用意したお弁当と共に召し上がっていただきながらお神酒が進みます。祭祀の在り方の原点ともいえる部分として「恩頼」という言葉があり、これはおんらいではなく「みたまのふゆ」と読みます。みたまは神さまの魂。ふゆは震えるとか揺れ動くという意味があり、漢字の振にゆを送り仮名につけ「振ゆ」と書きます。神さまのご加護を感じて心が揺れ動く感覚を表現している言葉なのですが、これは同時に人として誰かに何かをしていただいた時、あるいは誰かに何かをして差し上げた時なども同じように、感謝や思いやり、誠意や愛情といった純粋な気持ちから発せられる行為に対する気持ちを表現する言葉としてみたまのふゆという​感覚は、古来より日本人の伝統的な奥ゆかしい感性だったようです。

 このように神道で行われていることは日本人伝統の奥ゆかしさや配慮の精神を継承する信仰の形になっています。

​ 祭祀がある時は、その前日に神社の清掃を兼ねて総代全員によって準備が行われます。多くの皆様もご承知のように、神事が行われる神社は里宮であり、背後の山の頂上近くに奥社があります。昨年から気候として寒くもなく暑くもない春祭りあたりで一度行ってみようという提案があり、今回前日清掃で集まる機会を利用して、みんなで登ってみました。
 奥社のある浦山はとても急な斜面と聞いてはいたのですが、想像以上に過酷な山登りとなりました。何分、総代会は平均年齢が高めですので、老体に鞭打って何とか全員が登りきることができました。
 上がってみると、そこに佇んでいたのは聞いていたものよりかなり立派な社で、しめ縄と紙垂も飾られ、神社としての風格すら感じられます。全員は周りを掃除した後参拝して山を下りたのでしたが、時々上がってしっかり管理していくべきでしょう。
​以上、春祭りのご報告でした。
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